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東京高等裁判所 昭和41年(ネ)588号 判決 1967年9月27日

理由

一、被控訴会社が昭和三四年一一月三〇日訴外会社との間で、電気製品を売渡すこと、訴外会社の不履行の場合には、日歩三銭の損害金を支払うこと等の条項を含む被控訴会社主張のような特約店契約を締結したこと、右同日ころ、控訴人が被控訴会社に対し、訴外会社が右契約に基づいて被控訴会社に負うべき債務について連帯保証する旨約したこと、被控訴会社が右特約店契約に基づき昭和三四年一二月一日ころから昭和三六年九月二〇日ころまでの間、訴外会社に対し電気製品を継続して売渡し、昭和三九年八月八日現在訴外会社の被控訴会社に対する売買残代金が金四三万五、四九三円に達していることは当事者間に争いがない。

二、そこで控訴人の抗弁について検討する。

《証拠》をあわせれば、昭和三七年五月二三日訴外会社は被控訴会社に対し被控訴会社の有する別紙債権表記載の売掛代金債権合計四七万一、九一〇円を譲渡したことを認めることができる。この点につき控訴人は右債権譲渡はその券面額において本件債務の弁済にかえ代物弁済に供したものであると主張し、《証拠》によれば、右債権表記載の債権中回収の見込みのあるものは、その一部にしかすぎず、そのことは控訴人及び訴外会社はもちろん被控訴会社においても充分知つており、しかも訴外会社からはその取引先である第三債務者に対し、正式には債権譲渡の通知をしていないことが認められ、また右証人石川左近はその当時訴外会社の監査役として、訴外会社の被控訴会社に対する売掛金債務につき、被控訴会社との交渉にあたり、その整理事務を担当したが、右債権譲渡により、訴外会社の被控訴会社に対する右売掛金債務をすべて決済する旨の明確な合意は両者間に成立しなかつたと証言しているところであり、《証拠》によれば被控訴会社は右債権譲渡を受けた後にも訴外会社に対し売掛代金残額の請求を続けていることがうかがわれ、これらの事実と右証人大石隆久、池田重統の証言とにくらべると前記債権譲渡の趣旨についての右証人石川左近の証言及び控訴人本人尋問の結果は措信し難い。かえつて《証拠》をあわせれば、右債権譲渡はこれによつて被控訴会社をして直接その取立を行なうことを得させその結果被控訴会社がその支払を受けたときは、その入金額をもつて順次被控訴会社の訴外会社に対する本件売掛金債権の内入弁済に充当することとしたものであることが認められ、これを要するに右債権譲渡はいわゆる譲渡担保であり、しかも、いわゆる清算型のそれであつて、右譲渡にかかる債権の処分(取立又は譲渡等)によつて得た金額の限度で被担保債権たる本件債権を消滅せしめるものであると認めるのが相当である。その他に右認定をくつがえし、控訴人抗弁の趣旨を認めるに足る的確な証拠はない。

三、従つて控訴人は被控訴人に対し連帯保証人として訴外会社の被控訴人に対する昭和三九年八月八日現在の売掛残代金四三万五、四九三円から内入弁済された金一万円(右事実は被控訴人の自認するところで、その内金六、〇〇〇円については控訴人においても認めるところであり、これが右譲渡にかかる債権のうち取立の完了したものにあたることは弁論の全趣旨から明らかである)を控除した額の範囲内である金四二万三、四九三円及びこれに対する弁済期の後であり、かつ本件に関する支払命令送達の日の翌日である昭和三九年八月一二日(このことは記録上明白である)から支払ずみまで日歩三銭の損害金を支払う義務がある。

四、よつて被控訴人の本訴請求は正当として認容すべく、これと同趣旨の原判決は相当であり、本件控訴は理由がないので棄却

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